スタホ4

セガが「ゲーセン運営撤退」でスタホはどうなる?! 元新聞記者が徹底解説

2020年11月4日、セガサミーグループが発表したリリースをもとにした以下のようなニュースが流れました。

 

セガサミーHD、ゲームセンター運営事業から撤退

(日経新聞)

 

ゲームセンター運営から撤退 コロナが打撃、子会社売却―セガサミー

(時事通信)

 

セガがゲームセンター運営の子会社“セガエンタテインメント”を、ジェンダに売却

(ファミ通)

 

 

IYO
えっ、セガがゲーセンから撤退したらスタホ4はなくなっちゃうの?

と心配になった人もいるかもしれません。

 

先に結論を言えば、

今回売却されたのはクラブセガなどのゲーセン運営を担う会社なので、ゲームそのものの開発・運営チームとは別の会社であり、スタホ4そのものに即効性のある形で影響はない、

ということになるのでまずはご安心ください。

 

ただ、ダイレクトにサービス終了とかの影響こそないものの、セガがゲームセンターの運営から徹底するというのは、ある意味でターニングポイントになりえる話です。

 

今回のリリースが出た背景に加え、スタホに関わる組織変更や最近の業績を解説し、今後のスタホを占っていきたいと思います。

 

 

■ゲーセン屋さん「セガエンタテインメント」の悲惨な状況

今回のニュースリリースは、親会社であるセガサミーHDが子会社である「セガエンタテインメント」という会社の所有権(株式)を、GENDA(ジェンダ)という会社に譲渡した、というものです。

 

セガエンタテインメントの事業内容は、「アミューズメント施設の企画・運営」であり、いわばセガ〇〇だとかクラブセガ●●だとか、セガワールド●●のようなセガ直営ゲーセンを営んでいる会社です。

 

セガサミーHDが発表したリリースには、このセガエンタテインメントのことが詳しく書かれており、昨今のゲーセン厳冬期を感じさせる味わい深いものとなっています。

 

構造改革に伴う特別損失の計上および連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ

以下はその中にある、セガエンタテインメントの業績の状況です。

売上高こそ右肩上がりに見えますが、営業利益は直近の2020年3月期が前年の10分の1に、当期純利益はマイナス(△)になっています。

 

これ、驚くべきことに2020年3月31日までの営業結果を受けた業績なので、4月からの緊急事態宣言による休業の影響は織り込まれていません。

 

つまり、4月1日以降に店を閉めて、その間に延々と出費され続ける人件費や家賃、光熱費による莫大な損失、さらに緊急事態宣言後の営業不振などで、最近の決算はもう悲惨なことになっているわけです。

GENDA社への売却理由については以下のように説明されています。

事業環境の変化に適応し、アミューズメント施設分野の収益性改善と早期での売上回復を図るべく、様々な選択肢を検討してまいりましたが、その過程において、アミューズメント施設事業の拡大に強い意欲を持つ GENDA 社へ SE の株式を譲渡する協議を進め、本日開催の取締役会において株式譲渡契約の締結を決定いたしました。

 

この息子(セガエンタテインメント社)は、親(セガサミーHD)から200億円以上を借りながら生きながらえていたわけなんですが、親会社が「その借金もチャラにしますから、息子をよろしくおねがいします、GENDAさん」と送り出した、というのが事の構図です。

 

GENDA社は主たるビジネスがアミューズメント機器のレンタルとオンラインクレーンゲームということもあり、これにアミューズメント施設企画・運営が加わることに少なからずの意味はありそうです。

 

また、GENDA社長はホームページによると、

(イオンファンタジー)社長在任中の5年間で株式会社イオンファンタジーを世界一のアミューズメント施設運営企業に成長させ、時価総額を231億円から1,310億円に引き上げる。

https://genda.jp/

という人だそうで、セガのリリースにあるようにゲーセン業界に新風を巻き起こしてくれそうな予感はあります。

 

正直、私の今の主戦店はセガ所沢で、乏しい稼働の象徴のような店なので、GENDAのマネジメントでスタホが撤去されてしまう可能性もありえます。

GENDAは外資系金融機関出身者が牛耳っているため、この辺の判断は相当ドライっぽいです。

https://genda.jp/

 

私のように、セガ〇〇みたいなところを主戦にしている人たちは思い切ったメダル購入を避け、様子をみたほうがよいかもしれませんね。

 

ドナドナされてしまったゲーセン屋さんもそうですが、親会社自体もかなり苦しい状況になっています。

 

 

■兄貴(サミー)が大失速、弟(セガ)は?

コロナにより、航空会社や有名テーマパークの運営会社が莫大な赤字決算となっているのはニュースになっている通りですが、それらに隠れてセガサミーHDも厳しい状況になっています。

 

セガサミーHDという会社は、パチスロ北斗の拳などに代表される遊技機事業と、スタホ4などのゲーセン向けのほかチェインクロニクルなどのスマホ向けなどのゲーム開発を担うエンタテインメントコンテンツ事業が二枚看板となっています。

以下の2020年3月期の株主通信の図が分かりやすいですね。

2020年3月期株主通信 P1より

 

この会社は長く遊技機事業に屋台骨を支えられ、その間にようやくエンタテインメントコンテンツ事業が立ち直ってきた、という感じになっています。

それがよくわかる図が会社から出ています。

統合報告書2019 P19より

 

そんな頼れる兄貴分(遊技機事業)がついに倒れてしまいました。

 

以下は会社が発表した今後の計画の説明スライドに出ていた内容を抜き出し、私がコメントを入れました。

2021年3月期第1四半期決算プレゼンテーション -4-より

遊技機事業がセガとサミーが統合して以来、初めて遊技機事業の利益がマイナスとなる計画となっています。

これは新型コロナの影響で、旧規則機の撤去期限が延長され、新型機の購入意欲にダメージを与えたことが大きいとみられます。

 

兄貴分がこんな状況なので、弟分(エンタテインメントコンテンツ事業=セガ)に対する期待が大きくなっているわけです。

 

 

■セガのゲーム開発体制の変更とスターホース

われらがスターホースを抱えるグループ期待のセガは、2020年4月に組織改編を行い、セガゲームスとセガ・インタラクティブが合併して、セガとなりました。

この辺は過去の経緯を含めて絵にまとめてみました。

セガのゲーム開発体制が大きく変わったのは2015年の構造改革です。

ここでやり玉に挙がったのがアーケード向け機器、つまりはゲーセン向けです。

製品ラインアップの絞り込みやサービス撤退を含め、ちゃんと利益が出るようにメスが入りました。

 

こうしたアーケードゲーム開発体制の改革をスムーズに行うためにセガ・インタラクティブを切り離した形です。

 

当時のスタホ3でもこの構造改革によって、以下のような影響を受けています。

■2014年11月:性別産み分けお守り登場
■2015年10月:わさビーフとコラボ
■2015年12月:東京大賞典における大井競馬場O2Oコラボ
■2016年7月:GOGOカレーコラボ
■2016年8月:アルティメットコース導入
■2016年10月:SC株券導入

明らかな課金シフトですね(笑)。

とはいえ、ある意味で、スターホースというシリーズはテコ入れさえすれば撤退の必要なし、という判断を受けたということでしょう。

 

今後のセガの開発については、先ほど紹介した日経新聞にて以下のような談話が出ています。

 

セガサミーHDによると、アーケードゲームの機器開発は続けるが、今後開発の人員を家庭用ゲーム機事業などに配置転換することも検討しているという。

セガサミーHD、ゲームセンター運営事業から撤退

(日経新聞)

 

もはやゲームセンターでは儲けが期待できない、ということですね。

こうなると、スタホ4も終わりか?!と思えてくるわけですが、個人的には、スターホースをゲームセンターでやり続ける必要はないとずっと前から思っていました。

 

2016年9月のブログ記事では以下のように書いています。

 

スタホは何を目指しているのか。
行きつく先は、完全なオンラインゲーム化でしょうか。
ダービーオーナーズクラブのような。。。
もはや、店舗に行って、サテに座る意味すらなくなりつつあるような気がしてならないのですね、僕は。

ICカードをかざして、
専用バンクでメダルをデジタルに引き落とし、
タッチパネルで操作し、
全国のプレイヤーとランキングを競う。

こう捉えちゃうと、メダルに変わる専用の通貨さえ登場すれば、店にいく必要がなくなります。

モモマルスタホ手帳 スタホよ、どこへいく―お守りからSC株券までの流れを整理する 

 

 

これを書いた当時は、電子メダルMESTAはもちろん、スターホースポケットもありませんでした。

ある意味で、必然的に上記のような方向に進み、現在に至っています。

スターホースポケットも決して大成功しているとは言えませんが、現段階でスターホースポケット+(プラス)をリリースしたのもセガとしては何らかの可能性を考えてのことでしょう。

MOMO
ラストチャンスだったら悲しいですが

 

ここから私見を言わせてもらうと、

スターホースというコンテンツに未来があるとすれば、そのキーワードの1つが多様性だと思っています。

 

その多様性の1つが遊び方の多様性。

もうわざわざゲーセンにいかないとできないゲームに未来はありません。

通勤・通学の合間、仕事の休憩時間にスマホで、家のテレビで、など任天堂SWITCHのような遊び方を目指すべきだと思います。

やっぱりスタホは大画面でこそ、という面もありますからスマホに特化するのもちょっと違うと思うのです。

 

 

もう1つがレース選択の多様性。

本当はSWBCとWBCを往復するゲーム性は本当はスタホ3で終わりにしてほしかったのです。

そういう意味では、スタポケ+で取り入れられた、特定のレースを複数勝利で獲得できるタイトルで賞金が加算される「タイトルシステム」はとてもいいコンセプトです。

もうSWBCやWBCは不要です。

多様なレースの中からの選択による戦略性こそ目指すべき姿じゃないかな、と思っています。

 

多様性ともう1つ加えるならば、絆です。

結局、スタホを頑張る理由って仲間のためです。

スタホ4ではクラブという概念がありますが、仲間と力を合わせて挑むプレミアコンテンツがあるから、頑張れるのです。

正直、スタホ4のプレミアトーナメントはスタホ3を超えるものになっているとは思えません。

 

ここに挙げた要素は最低限の話であり、これをクリアできたら問題ないとは到底思えません。

 

 

アーケード版スターホースがなくなるXデーは確実に迫ってきています。

限られた命の中で熱くなれる、未来を感じる方向性をぜひ出してほしいと切に願います。

 

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