スターホース4の運営への不満があまりに溜まりすぎた結果、ここ最近、攻略記事の更新はもとより主戦店での育成も小休止しています。
(ただし、プレミアのクラブ活動は継続)
この間に、2月24日にリリースされたウマ娘をがっつりプレイしていました。
スタホ民のウマ娘の反応は以下の記事でも書きましたが、私のような競馬フリークも満足できるレベルのこだわりをもってつくられていて面白い、というのが感想です。
競馬ゲームのヘビーユーザーの視点からみて、ウマ娘のどの辺がよくできているのか、スタホ4が見習う点はどこか、という話をしたいと思います。
目次
■ウマ娘の評判
このウマ娘については、YAHOOニュースでもちらほら記事が出てきています。
要所に詰め込まれた競馬へのリスペクト ゲーム『ウマ娘』は競馬ブーム再燃の起爆剤に?
(出典:リアルサウンド)
タイトル発表から実に5年、遅れに遅れてやってきた本命馬「ウマ娘 プリティーダービー」そのクオリティーは?
(出典:ねとらぼ)
この2つの記事でも指摘されているのが「史実」へのリスペクトです。
ウマ娘は先行してつくられていたアニメ版もありますが、ストーリーの骨格は実際に起こった出来事をベースにし、マニア垂涎のエピソードがそこかしこに埋め込まれています。
リアルサウンドの記事では、天皇賞制覇に熱い思いを燃やすメジロ一族の話が出ていますが、メジロマックイーンがメジロティターン、メジロアサマに続く三代連続の天皇賞制覇という期待がかけられていたというのは大変有名な話です。
また、天皇賞春連覇を目指すメジロマックイーンと無敗クラシック3冠をケガで逃し、そこからの復活を期すトウカイテイオーの対決、もストーリーに描かれています。
ウマ娘のトウカイテイオーには、登場メンバー内で前屈記録ナンバーワンという設定があるのですが、これも史実に沿っています。
デビュー前からつなぎの柔らかさを生かしたダイナミックな走りがトレーニングセンターで話題になり、調教師は将来のダービー制覇を確信し、余裕のあるローテを組んだというエピソードがあるのです。
萌え擬人化した馬が走るという非現実性が全面に出る中で、それ以外はなるべくリアルなものにしよう、というこだわりが強く感じられますね。
■競馬ゲームとしてのウマ娘
・良くも悪くもパワプロのサクセスモード
リリース前夜となる2月23日に配信されていた公式生放送ではじめてゲーム性を確認したのですが、一連の育成過程は、良くも悪くも「パワプロのサクセスモード」と酷似しています。
私としては、家庭用ゲームのパワプロも、アプリのパワプロもそこそこハマっていたこともあり、ゲーム進行の流れや攻略ポイントがイメージできました。
育成プレイ画面のインタフェースやパワプロでいう選手とマネージャー(非選手)のような区分を含めて、そっくりです。
育成のテーマが「野球」であり、育てる対象が「選手」なのがパワプロであり、
テーマが「競馬」で、育てる対象が「競走馬(娘)」なのがウマ娘、
という整理をしておけば大きく間違っていません。
育成ゲームとしてのパワプロ・サクセスモードはある意味で完成されたシステムでもあるので、自分の競走馬を育てている感はかなりあります。
・ウマ娘は「血」ではなく「想い」を継承
競馬はブラッドスポーツともいわれ、人間でいう家系図にあたる血統図が非常に重要になっています。
少し前のアイススケーターの織田信成さんは血筋をたどると、織田信長にたどりつくのですが、サラブレッドも血筋をたどると、サンデーサイレンスなりノーザンダンサーなりと主要な馬にたどりつくのです。
競走馬育成ゲームにおいて、どのような血統背景を持つ馬同士を掛け合わせて、どんな血を継承していくのかがポイントになっています。
このように競馬育成ゲームは「血」を継承するわけですが、ウマ娘は「想い」を継承するという設定になっています。
物理的に血を受け継いだ親子関係をつむいでいくのではなく、精神的な想いを継承するいわば「ソウルメイト」に伝承していく、という点にウマ娘の独自性があります。
この辺がゲームフローにどう影響しているかをまとめると以下の通りです。
■1■想いを継承する二人を決める
■2■育成サポートキャラを決める(6人)→育成開始
■3■新馬シーズンが開始(約半年間)
■4■クラシックシーズン(1年間)
■5■シニアシーズン(1年間)
■6■エクストラシーズン(最大で3戦)
■7■引退・継承ウマ娘登録→■1■のステップに戻って想いを継承できる
という流れです。
■1■は最初のうちはデフォルトで用意されている殿堂ウマ娘から選んだり、他のプレイヤーから借りたりもできます。
選ぶ殿堂ウマ娘には自分が育てるウマ娘の適性パラメータに影響与える「因子」が設定されています。
上の画像をみて分かる通り、継承させるウマ娘は2代前のウマ娘の因子も影響します。
誰と誰の想いを受け継ぐのか、を考えるという点では、いわゆる配合的な面白さがあります。
・適性パラメータの重要性
3~5までは、以下の画像のように条件設定されたレースで決められた水準以上の成績をおさめないとゲームオーバーになる、というスタホ3でいう「レジェンド」のようなゲーム性になっています。
例えば、最初から選べるキャラクターでいえば、サクラバクシンオーは1200mから1600mの範囲内でのレースになるため、ひたすらスピード適性を高めたらエキストラシーズンまで容易にたどり着けるのに対して、
ウオッカは1600mで勝ち負けするスピード能力が求められつつ、クラシックシーズンでは2400mのダービーを乗り越えるスタミナ能力も要求されます。
そのため、先に挙げたウオッカなら、新馬シーズンは基礎的なスピードと初夏の日本ダービーを見据えたスタミナを両立させて育てつつ、秋からはスピードに磨きをかけていく、といった育成プランを描いて実行していくわけです。
ウマ娘は適性が大きく外れたレースに出てもまず勝てません。
この辺が、メダルをつぎこんで素質さえ高めれば、短距離適性の馬であっても5000mのWBCロングに出て普通に勝てるスタホシリーズの育成と差があります。
スタホ4は、適性が大事になったと言われてきましたが、蓋を開けてみたら勝敗をわけるほどの影響はありません。
スタホ4もどうにかできなかったのでしょうか(笑)。
■脚質やコースに合わせた特性スキルの習得
ウマ娘における育成は、スピード/スタミナ/パワー/根性/賢さという定量的な数値を伸ばす事に加え、スキルポイントをためて特性スキルを習得する必要もあります。
この特性スキルは、上り坂で発動する特性や逃げ脚質で発動する特性、さらには自分が前目の位置にいると後ろの馬の速度を下げる妨害的な特性までバラエティ豊かです。
そもそもウマ娘は、実際の競馬場の特長をかなり細かく再現しています。
例えば、京都コースは、第三コーナーの入り口で坂を上り、第四コーナーにかけて下る起伏があるんですが、ウマ娘内でも、途中の上り坂で先に挙げた上り坂スキルが発動するなど結構判定が細かい。
この辺がスタホシリーズにおける不満点の1つでした。
スタホシリーズにもコース特性がありますが、坂があるかないかは直線にあるかないかしか参照していません。
少なくともスタホ3において京都は、坂レベル0の平坦コースとなっており、本当に起伏の無い札幌コースと同じ扱いになっていました。
スタホ4でも特性という概念がありますが、レース中に発動するものは限られていますし、現役時代の影響は軽微です。
もちろん、ウマ娘は先行するスタホ4の要素をよりよい形で取り入れたのだと思いますが、スタホ4において特性が単なる飾り程度の扱いをみるとちょっと悲しくなります。
■対戦要素は5連戦のチームバトル
自分が育てた馬は、短距離~マイル~中距離~長距離~ダートという5つの路線で競うチーム競馬場に出走させることもできます。
これがいわゆる対人戦モードにあたるものですが、
短距離~マイル~中距離~長距離~ダートごとに最大3頭まで合計で15頭を配置できます。
なんというか、スタホ3のプレミアカップの5連戦をつないでいく良さと、スタホ4のプレミアトーナメントのチーム戦の良さを合体させた感じで、本当によくできています。
特に1つの路線で3頭エントリーさせることができるため、1頭は1着を狙うエース役、2頭目と3頭目はライバルチームの馬を妨害させるスキルをふんだんに持ったサポート役という組み方もできれば、逃げと追い込みの極端な展開で勝利を狙いに行くような組み方もできたりとなかなかに戦略性があります。
このチーム競馬場モードのそれぞれのレースは相手の能力だけでなく、レース映像が見られるので、作戦がうまくいったのかの検証もできます。
結局、この戦略の検証可能性ってとても大事です。
どのような特性が求められるコースで闘うことになるのかの情報が全くなく、レース映像もなく、結果だけが出るだけ、というスタホ4のプレミアトーナメントは、今のままでよいのか考えてもらいたいところです。
スタホ4も最近、ようやく人気だけでなくオッズを出すようになったみたいですが、そういうユーザー目線の見直しをどんどん進めるべきですね。
現時点では、ウマ娘のチーム競馬場も自分ひとりで5つの路線の馬を埋めて、毎日コツコツ闘う感じですが、いずれスタホ4でいうクラブにあたる「サークル」対抗の大会なども開催されて盛り上がっていきそうな予感もあります。
■ゲームの原点は楽しめること
とりとめもなく、つらつらと書き連ねてきましたが、ウマ娘をプレイして改めて思ったのは、勝った時の喜び、勝ち続けるために考える工夫、狙いがうまくいった爽快感がゲームの楽しさなんだよな、という点です。
楽しさよりも苦しさが凌駕するスタホ4に慣れすぎてしまったせいか、余計にそう感じました。
そもそもスタポケは、株券に課金してレジェンド生産で強い馬を生み出して走らせるだけ、という育成ゲームですらなくなってしまっているなど、セガの競馬ゲームの凋落ぶりがひどいです。
もちろん、ウマ娘も育成の行き詰まりであったり、対人戦の盛り上がりの欠如などアプリゲームの壁にぶつかることもあろうかと思います。
ともあれ、
競馬を題材にしたゲームがこれほどまでに人気を博している、という点は喜ばしい限りです。
競馬ブームの再来、とまではいかないんでしょうが、競馬のロマン性や面白さが再発見されるいい機会になったなあと感じています。
では。