元新聞記者、現企業分析研究員によるメモ帳

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いまさら聞けない株式会社の仕組み

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この間、「株価」について書いた記事について、「そもそも株式上場が何なのかわからないんですが。。。」という読者からの反応がありました。

確かに言われてみれば、株式を上場するということがどのような意味を持つのか、そもそも「株式ってなんだ?」というところから噛み砕いて説明する必要もあるかもしれない、と思いました。

 

ウィキペディアでは、「株式会社(かぶしきがいしゃ)とは、細分化された社員権(株式)を有する株主から有限責任の下に資金を調達して株主から委任を受けた経営者が事業を行い、利益を株主に配当する、『法人格』を有する会社形態であり、営利を目的とする社団法人である。」」

という説明が掲載されています。

 

サラリーマンとして雇われの身であろうが、自分で会社を経営しようが、株式会社という仕組みを深く理解しておいて損はないと思います。

 

よく目にするけれど、詳しくは知らない「株式会社」をなるべくわかりやすく語ってみたいと思います。

 

<目次>

□「株式」ってなんだ?

□株式を市場に出品する「上場」

 

 

□「株式」ってなんだ?

そもそも、会社を経営するというのはどういうことなのか、実例を交えながら説明します。

会社を立ち上げて、事業を営んでいくためには、商売を始めるにあたっての設備を買ったりする初期投資に加えて、従業員に対する給与や事業に協力してくれる取引先への対価の支払い、税金の支払いなど事業を継続的に営むための費用がかかります。

 

例えば、お弁当を自分でつくって売るお弁当屋さんで例えると、商売を始めるためには、お弁当を売るためのお店を借りたり、借りたお店にキッチン設備を入れたりする必要があります。

お店を借りる場合は、敷金、礼金のほか、家賃の前払いもかかりますし、揚げ物のためのフライヤーや食材を入れる冷蔵庫も買うか借りるかしないといけません。

これが初期投資ですね。

 

さらに、お弁当を自分でつくるのに、お米や具材など材料を定期的に仕入れる必要がありますし、借りている店舗の家賃、アルバイトを雇えば給与も必要でしょう。

事業を継続的に営むのに必要なお金を「運転資金」とも呼びます。

 

初期投資の費用や運転資金をどうやって用意するのか、が株式会社を理解する上で大事なポイントです。

 

大きく、

1.誰かからお金を借りる、

2.自分で用意する、

3.誰かを仲間に入れてお金を出してもらう、

の3パターンがあります。

(ただし、1と2や、1と3など組み合わせるパターンが多いです)

2と3のパターンでお金を調達することを「出資」と言います。

1のパターンとの決定的な違いは、お金を返す必要があるかないかです。

1のパターンは、銀行や信用金庫など金融機関がお金の出元であり、融資と呼ばれます。

 

出資されたお金は返す必要がありませんが、仲間としてお金を出してくれたわけですから、ある意味で共同経営とも言えます。

共同経営、つまり仲間である証として「株式」を配ります。

この株式を持っている人は「株主」と呼ばれます。

 

例えば、先のお弁当屋さんの経営者のAさんが自分で1000万円、友人のBさんに500万円、Cさんに500万円出資してもらい、合計2000万円の資本金で会社を始めたとします。

 

Aさんは2000万円のうち半分を出していますから、会社の株を50%もらえます。

Bさんは2000万円の4分の1にあたる500万円を出しているので、25%の株、Cさんも同じです。

 

これを冒頭の説明では、

“細分化された社員権株式)を有する株主”と説明しています。

 

そして、BさんとCさんは、お弁当屋さんの将来性やAさんの経営手腕を見込んでお金を出しただけで、お弁当事業に関わらないとすると、お弁当屋さんの運営自体はAさんに任せることになります。

万が一、お弁当屋さんが失敗しても、失うお金は最初に出資した分だけ、これを有限責任と言います。

 

ただ、お金を出しただけではボランティアみたいなものになりますから、BさんやCさんが何かしらの見返りが欲しくなるのは当然です。

そこで、1年に1回か2回、事業がうまくいった分け前をもらうことになります。

これを「配当」と言います。

 

これらをまとめると、

株主から有限責任の下に資金を調達して株主から委任を受けた経営者事業を行い、利益を株主に配当する、という説明が理解できるはずです。

 

もし、株式という仕組みがなかった場合、お弁当屋さんを始めたいAさんはお金を借りるか自分で用意するしか道がなくなります。

株式のルーツは、17世紀初めのオランダで誕生した「東インド会社」と言われています。

アジア貿易は莫大な利益を生むチャンスに溢れていた一方で、航海の途中で事故に遭ったり、海賊に襲われる危険もありました。

事業で成功する利益も、失敗する損失も、大勢で分け合おうというのが株式の原点なのです。

 

□株式を市場に出品する「上場」

会社がある程度成長してきたときに、株式上場というステップが訪れます。

「就職するならやっぱり東証一部上場に限るよね」とか「うちの旦那の会社は非上場でうだつがあがらないわ」みたいな世間話があるかは知りませんが、「上場」という言葉は日常でたまに登場するのは確かです。

 

この上場について、先のお弁当屋さんを例に出して説明します。

お弁当事業が健康ブームに乗り、同じメニューを出す2号店、3号店と次々と出店し、急拡大してきたとします。

オレたちの弁当は全国でも通用するぜ、と息巻くAさん。

従業員も足りませんし、お金があればお店もどんどん出したいわけです。

そこで「上場」という選択肢が登場します。

 

これはAさんやBさん、Cさんが持っている株式を、株式市場というマーケットに登録し、株式を買いたい人が誰でも買えるようにすることを意味します。

 

そのことがなぜAさんの思惑である「従業員の増員」や「出店の加速」につながるのでしょうか?

 

 

上場というプロセスで何が起きるかをもう少し書きます。

 

ここでは登場人物が増えます。

株式市場自体を運営しているD社、Aさんのお弁当屋さんの上場を手伝うE証券です。

D社が運営している株式市場には300社の選りすぐりの会社の株式が並んでいます。

D社としては、市場のラインアップを加えるのであれば、安定して成長が見込める有望な会社を加えたほうが市場自体の価値が高まりますから、上場させるかどうかを審査します。

 

株式を上場させたいAさんは、E証券に相談します。

E証券はこれまで何社もの株式上場を支援してきた実績を持ちますから、D社の審査をスムーズに進めるための書類作成ノウハウや、審査でアピールすべきポイントを理解しています。

 

こうしてE証券の力を借りながら、D社の市場にAさんの会社が並んだら、Aさんや出資者のBさん、Cさんの株式を市場に並べて売りだすことになります。

 

これまでAさんやBさん、Cさんの株式は、知り合いに「僕が持っている株を●円で買ってくれないかなあ」と直談判するしかお金に換金することはできませんでした。

 

市場に並ぶということは、株式に価格がつくことで、誰でも買えることになります。

D社の審査を通過した会社という安心感もあり、市場のラインアップに加わることで「A社?知ってるぅ知ってるぅ」と知名度が上がり、従業員も集めやすくなります。

創業メンバーのAさん、Bさん、Cさんの自分の株式は、D社の市場で公正な価格で買い手がつき、その代金が経営者のAさんもしくは会社に入ることで、出店攻勢をかける資金になるのです。

 

たとえでD社と言いましたが、これこそが日本証券取引所が運営している「東京証券取引所1部(略して東証1部)」などであり、そこに登録されている会社が「東証一部上場企業」と呼ばれるわけです。

 

株式上場して、投資家から人気を集めると、経営者のAさんが持っていた株式が莫大な資産に化けます。

スマホのiphoneを生み出したことで知られるApple社が1975年に株式上場した際には、創業メンバーのスティーブン・ジョブズが持っていた750万株が2億ドルを超える価値となっています。

 

 

株式という概念とそれを上場させることの意味について、書いてきました。

本当は、会社形態には通常の株式会社と「特例有限会社」や「合同会社」など種類があるとか、会社の設立や海産、運営や資金調達に関わる法律「会社法」があるとか伝えたいことはたくさんありますが、それはまた別の機会に。

就職活動している学生さんや社会人なりたての人が「会社の仕組み」を知る上での参考になったらうれしいです。

 

 

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