元新聞記者、現企業分析研究員によるメモ帳

モモマル雑記帳

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企業の価値観や思想の拠り所、「理念」について考える

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企業の採用サイトの人事責任者メッセージなどを見ると、欲しい人物像に「当社の企業理念への共感」とか書いてあるのをたまに見かけます。
「御社の企業理念に共感しまして志望しました!」と大真面目に志望動機を語る人がいるのかいないのか分かりませんが、企業を見る上で重要なポイントであることに違いありません。

そこでお聞きします。
なぜ企業理念が重要なのか、説明できますか?
もちろん立場(投資家、学生、取引先)によって、答えは変わるでしょうし、唯一絶対の正解などありません。
企業を見る目として肥しになる自分なりの解釈を持っているかどうかが大事です。

私がこれから書く内容も見方の1つでしかないため、
「そういう考え方もあるのね」
という参考程度にしてください。

<目次>

■企業理念はなぜ大事なのか

■企業理念の見どころ

■無機質な沿革情報群を見るポイント

 

■企業理念はなぜ大事なのか

まず冒頭の質問(なぜ?)に私が答えるなら、
「企業活動の軸を大事にしない企業と付き合っても、ロクなことがない」
というところでしょうか。

ここでいう「ロクなこと」は、投資家であれば投資したお金が目減りすることですし、取引先であれば納品物に対する謎の値引き要請・取引停止などです。
学生さんならば、就職してから長いこと苦労させられます。
下手すると、雇用契約を「裁量労働制」で結ばせて、いきなりつぶれてもいいくらいの気持ちで働かせようとするかもしれません。

企業理念を大切に扱わない企業は、短期志向の経営に陥りがちになります。
中小・零細企業は1年間をどうしのぐかという切なる気持ちで先に出て、5年後・10年後なんて考える余裕がないケースも多いです。
そうなると、「理念なんて掲げてメシが食えるのか」という話になります。
創業者がいるうちは、その人の考えが判断軸であり、理念みたいなものなのでうまくいきますが、経営の世代交代が起きたときに問題が顕在化します。
困ったことがあった際、「こういうときどうすればいいんだっけ?」と判断軸があやふやになり、当面さえよければいいという経営行動が徐々に目立ってくるわけです。

これは理念がないことが多い中小・零細企業に限った話ではなく、判断軸の弱さ、軸を大切にする文化がない大企業にも当てはまります。

長期の反映のために欠かせないお客様、従業員、お取引先をはじめとする関係者(ステークホルダーとも呼ばれます)との信頼関係を軽んじるようになると、どんどん短期志向の企業行動になってきます。

では、企業理念のどこをチェックすればいいのでしょうか。

■企業理念の見どころ
企業理念の見方として私が重要視していることは、軸がどのような向きなのかという方向感、とそれがちゃんと機能しているかという実効性です。

もう少し解説します。
軸の向きとは、どのような稼ぎ方を是としているかという価値観です。

奇抜なことは避け、誠実さをもってお客様ニーズに応えることを最重要視するのか、
常に新しさを追求し、時代の先端を取り入れていくのか、
お客様の先にある社会をも意識して事業を進めるのか、
様々な理念があろうかと思います。

企業における生き様のようなものです。
正しい理念などありません。

理念そのものからはその良し悪しが大概のケースで掴めません。
差が出るのは、企業行動としてちゃんと実践しているか、という実効性のほうです。

ただ、この実効性というのを見極めるのは大変難しい。
外側から得られる情報には限りがありますし、そもそも企業側からは都合の良い情報ほど発信されやすいというバイアスの問題もあるからです。

悪い情報を隠し、耳障りの良い情報だけ出そうとしても、どこかで必ず綻びが出ます。
完璧な情報統制など土台無理なのです。
これは新聞記者時代の仕事からも実感をもって言えます。

とはいえ、外側から実効性を測るコツはあります。

 

■無機質な沿革情報群を見るポイント
→定性的な情報と定量的な情報からターニングポイントをチェック

先に述べたコツとは、企業の歴史(沿革とも呼ばれる)を理念と関係づけながら丹念に見ることです。

例えば、
セブンイレブンであれば、
「いかなる時代にもお店とともにあまねく地域社会の利便性を追求し続け、毎日の豊かな暮らしを実現する」
という理念を掲げています。

この文面で価値観が色濃く出ているキーワードは、
お店とともに、
利便性を追求、
豊かな暮らしを実現
でしょうか。

お店とともに、というのは事業パートナーであるフランチャイズオーナーを大事にするという意味合いでしょうか。
そうなると、オーナーを大事にした結果として加盟店数は長い歴史でどういう増え方をしているかな、
とか
オーナーとトラブル・訴訟とか起こしてないかな(これは企業の沿革では出てこない)
という着眼点が生まれます。

さらに、
利便性という観点で、
どのような企業努力をしてきたのかな、
それは業界で一番早かったのかな、
などでしょうか。

価値観に基づいたアクションと数字の積み上げ、これが沿革の無機質な情報に宿っている企業は長期的に反映する可能性が高いです。
ということは、就職でその一員になったり、製品サービス供給でお取引したり、資金サポーターで投資するとハッピーになれる可能性もまた高くなるのです。

逆に、そうしたアクションの積み上げが乏しい、もしくは価値観に沿ってない方向でエネルギーが分散している企業は少し危うい。

特に企業合併を重ねていると、合併前の文化が合わせ残り、従業員が同じベクトルを向いていないケースもあります。
合併の頻度やその後の統合後の動きは要注意と言えます。

ここまで企業理念という価値観の方向性を捉えた上で、具体的な動きを時系列でリアルに見るということについて語ってきました。

価値観だけで分かる側面は限りがあり、企業分析ではこの価値観を踏まえながら、事業構造や収益性という側面に入って良い会社かどうかを見ていくわけですが、今回はここまで。

 

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